千葉景子法相(62)は28日、東京拘置所で死刑囚2人の刑を執行したと発表した。昨年9月の民主党政権交代後初めて。野党が30日召集の臨時国会で、千葉氏が参院選で落選したのに留任したことや、在任から1度も刑を執行していなかったことを追及しようという矢先のタイミングだっただけに、永田町では「追及逃れ」「保身」との批判が噴き出している。
記者会見で千葉氏は、執行に自ら立ち会ったことを明らかにし「慎重に検討し、命令した。あらためて死刑について深く考えさせられた」と述べた。関係者によると、千葉法相が死刑執行の命令書に署名したのは24日だったという。
執行されたのは、宇都宮市の宝石店で2000年6月、女性店員6人を焼き殺した篠沢一男死刑囚(59)と、埼玉県熊谷市などで03年、男女2人を殺害し女性2人に重傷を負わせた尾形英紀死刑囚(33)。2人の執行により、確定死刑囚は107人となった。
千葉氏は、就任前まで「死刑廃止を推進する議員連盟」に所属して死刑廃止の立場を取り、就任後も執行ゼロだったことが批判を浴びていた。急な変わり身はなぜなのか。
仙谷由人官房長官は「法相が法の定めるところに従って適正に判断された」と強調した。
しかし、法相在任中に過去最多となる13人の執行を命じた鳩山邦夫氏は、「法律の要請に応えて死刑を執行したことは評価できる。ただ、これまで死刑廃止と言ってきた人が、『選挙に落ちた』『死刑していない』と批判されたから態度を変えたとしか思えない。筋が通っていない。追及かわしのフェイント、あと2カ月居座りたいという欲のためにやったとしか思えない。そのために執行された人がいるとすれば、気の毒だ。千葉氏の行動はみっともない」と千葉氏の“保身”を断罪した。
また、野党側は千葉氏が参院選で落選したことを問題視し、「国民にノーと言われた人が死刑執行のはんこを押した」(川崎二郎自民党国対委員長)と批判した。
公明党の山口那津男公明党代表は「(千葉氏は)法相の職にふさわしいかどうかという点で民意を得られなかった。国民の理解が得られない」と指摘した上で、「菅直人首相の任命責任が改めて問われる」と記者団に語った。


